「バカの壁」と聞いて、ピンとこられるでしょうか?

一時期大きな話題となった養老孟司氏によるベストセラー本なので、タイトルが記憶にある方は多いと思います。
2003年に出版され、累計販売部数は439.5万部とのこと。歴代の書籍販売部数ランキングでは5位にあたるそうです。(ちなみに、1位は黒柳徹子氏の「窓際のトットちゃん」です)

■バカの壁とはどんな壁?

本の中では、

<結局われわれは、自分の脳に入ることしか理解できない。つまり学問が最終的に突き当たる壁は、自分の脳だ。>

 

<つまり、自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている。ここに壁が存在しています。>

こうしたものが「バカの壁」だと説明されています。

つまり「すべてを理解することはできない」ということと、「すべてを知りたいとは思っていない」ということが、人間にとってのひとつの壁なのだということでしょう。

■相談しても実行しない人たち

これは、FPとして個別相談を受ける際に「わかっているけど実行しない」ケースが発生することの説明にもなりそうです。

例えば、「住宅ローンの借り換えを実行すれば、将来の総返済額が確実に少なくなるのに実行しない」とか、「生命保険を見直した方がいいのはわかっているのに、そのままの状態が続いている」といったケースは、相談に来られた時点で「何らかの行動をとるべき」という気持ちはあったはずです。

「すべてを理解できなかった」ことが行動を妨げる原因であれば、それは相談を受けたFP側に責任があると考えられます。理解できるまで説明すれば解決する可能性は高いでしょう。

一方、そもそも「すべてを知りたいとは思っていない=行動したいとは思っていない」ことが行動を妨げる原因であれば、FPとしての「知識や知恵のアドバイス」だけでこの「壁」を超えるのは難しそうです。

■心理的な壁への対応

このような状態となる要因を突き詰めていくと、その人の心理的な抵抗に行き当たるようです。
「物事を理解する」のと「行動する」のは、使用している神経回路が違うらしいので、こうした「傾向」を理解できれば、知識を駆使したアドバイスだけでなく、相手の心理に焦点を合わせたアドバイスができるのかもしれません。
わかっているけど実行できないことを抱えている人って、思いのほか多いですから。

最近読み返した本の中に、

<余暇をいかに過ごすかが、仕事や人生を決定づける。>

 

<自分のいちばんの楽しみを、人生の最後の15年だか20年だかのためにとっておくことはなどないではないか!>

という文章がありました。

この文には私が線を引いていたので、読んだ当時(5年ほど前)に大事なところだと思ったのでしょう。
余暇を取ることは大事だし、そのために何十年も待たなくて良い、と頭では考えたのでしょう。

でも現実には、この本を読んだ後の数年間に余暇を楽しんだ時間は極めて少なく、「仕事がひと段落したら」とか「引退したら」といった条件をつけ、余暇の時間を先延ばししています。

つまり、頭で考えていることを行動にしていないわけです。
両者の間には、自分の意識では気づいていない何らかの壁があるのでしょう。

自分の中で自分の行動を妨げている「バカの壁」を認識する大切さを、改めて考えた夏の終わりでした。
(写真は単なるイメージです)

guam(大)

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