個人型確定拠出年金に関する情報が増えてきたように感じます。

きっかけは、2016年5月24日に「改正確定拠出年金法」が成立したこと。これにより加入対象者が大幅に増えたことで注目度が高まりました。

ただ、関心はあるけど、イマイチよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

◆確定拠出年金(DC)とは?

そもそも確定拠出年金とは、リタイア後の生活に備えた資金を貯める仕組みです。

毎月の積立額(=掛金)を決め、積み立てたお金を自分の判断で運用し、その結果貯まったお金を将来年金や一時金で受け取るというもの。
この仕組みを会社が導入し、その会社に勤めている人が加入するものを「企業型」といい、個人が自分の意思で手続きをして加入するものを「個人型」といいます。

よく「DC」という略称が使われますが、これは「Defined Contribution」の頭文字を取ったものです。日本では2001年10月の確定拠出年金法施行から制度が始まりました。
当初は、お手本となったアメリカの制度が「内国歳入法401条k項」に規定されていたこともあり、「日本版401k」と呼ばれることも多かったのですが、今では「DC制度」という呼び名が一般的になっています。

さて、このDC制度、2016年6月現在の加入者は、企業型が約579万人、個人型が約27万人となっており、65歳以下人口(約9,369万人)の6.47%程度となっています。
しかも、数字を見れば一目瞭然で、加入者のほとんどは「企業型」の加入者です。これは自分の意思で加入しているというより、勤め先の企業や団体が制度を導入したからいつの間にか加入していたという感覚でしょう。

ともあれ、制度に加入すると「自分の将来のための資金を自分で運用する」ことになるわけです。運用に利用されるのは投資信託がほとんどですから、投資信託に関する基礎知識が不可欠といえます。
では、自分で投資信託に直接投資することと、DC制度を利用して投資信託に投資することにはどういった差があるのでしょう?

◆よく言われる税制メリット

ここで一番よく伝えられるのは、「DC制度には税制メリットがある」という点。

具体的には、

①負担した掛け金が全額「所得控除」の対象となるため、毎年支払う所得税や住民税が少し安くなる
②運用期間中に得た利益が非課税となる
③将来受け取る時にも税金が優遇される

という3つです。

まず、①のメリットを、自分で投資信託に直接投資することと比べてみましょう。

例えば、毎月1万円の掛け金を支払うとします。ようするに、将来に備えて毎月1万円の積み立てを始める、ということです。
そしてこの人に年間200万円の所得があり、所得税5%、住民税10%の合計15%の税金を払っているとします。(実際には所得のうち195万円を超える部分の税率は10%ですが、細かい話はバッサリ省きます)

この場合、直接投資信託を買えば、税金の計算には何も変化がありません。
所得税と住民税を合わせて15%ですから、200万円×15%=30万円の税金を支払います。

一方、DC制度の掛金として毎月1万円を負担した場合、年間12万円の掛金総額が「所得控除」の対象になります。
所得控除の対象になる、というのは、「税金計算の元となる金額から差し引く」ということですから、結果として負担する税金が少なくなります。

このケースでは、200万円の所得が188万円になりますから、税金の負担は28.2万円(188万円×15%)となり、18,000円も税金が少なくなりました。
これが、所得控除によるメリット。仮に30年間同じ状況が続けば、54万円も違ってきますから、なかなかのものです。

◆自分が貯めたお金を受け取る時に課税される?

ちょっと長くなりそうなので、②は飛ばして③の話をしましょう。

ここでも基本的には、「受け取るお金に掛かる税金を計算する際に優遇される」という点がメリットです。
運用した結果の資金を将来受け取る際、一括で受け取ると退職金として扱われるため「退職所得控除」の恩恵を受けることができます。また、分割で受け取ると年金として扱われるため、「公的年金等控除」の恩恵を受けることができるのです。

退職所得控除って何?とか、公的年金等控除って何?という話は今回はスルーします。
税金計算の際に優遇される仕組みだと思っていただければそれで十分です。

さて、ここでちょっと妙なことに気付きます。

会社側が掛け金を負担することがほとんどの「企業型DC」はいいとして、個人型DCの場合、掛け金を負担するのは自分自身ですよね。
「DC制度では、運用してきた資産を受け取る際の税金が優遇される」と言われると、なんとなくお得な気がしますが、そもそも自分が貯めたお金に対してなぜ税金を掛けられないといけないのでしょう?

毎月1万円ずつ銀行で積立貯金をし、30年後に貯まった360万円を一括で引き出す際に、「一括で受け取る場合は退職金となるので、退職所得として課税対象となります」という時点でなんだか腑に落ちません。これは、年金として分割で受け取る際に「雑所得として所得税、住民税の課税対象になります」というケースも同じです。

退職所得控除や公的年金等控除が使えることで、結果として税金はかからないケースがほとんどでしょう。でも、「税制優遇がある」という言葉だけにはぐらかされているような気がしないでもないわけです。

今回の記事を書いてて気付きましたが、そもそもの制度の見本となった「アメリカの内国歳入法401条k項」では、「税制優遇」ではなく「所得税繰り延べ」ってなってるんですよね。繰り延べというのは、「今は取らないけど、将来取るよ」という話。ようするに課税時期の先送りです。

まあ、結果が同じであれば、細かいことを気にする必要はないといえばそれまでですが、ちょっと不思議に感じた話をご紹介しました。

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