アメリカの株式市場が過去最高値を更新し続けています。
年明けの16,000ドルを割り込む水準からは3,000ドル以上の上昇。このまま年末まで上昇を続けるかどうかはわかりませんが、トランプ次期大統領の政策への期待と同時に、公表されるアメリカの景気指標が好調ということもあり、強気な見通しが主流のようです。

一方の日経平均株価も上昇を継続しています。イギリスがEU離脱を決めた国民投票の直後には15,000円を割り込むときもありましたから、わずか半年で25%以上の上昇です。

◆様々な資産形成手段

さて、このように株式市場の上昇が目立つにつれて、「有利な資産形成手段」が紹介される機会も増えてきます。
来年から加入対象者が広がる「確定拠出年金個人型」や、2018年から導入が予定されている「積立型NISA」などもその一例でしょう。

確定拠出年金とは、リタイア後の生活に備えた資金を貯める仕組みです。
毎月の積立額(=掛金)を決め、積み立てたお金を自分の判断で運用し、その結果貯まったお金を将来年金や一時金で受け取るというもの。この仕組みを会社が導入し、その会社に勤めている人が加入する「企業型」と、個人が自分の意思で手続きをして加入する「個人型」があります。

一方のNISAは、1年間に定められた上限額までの購入株式等について、そこから得られる配当や譲渡益への税金が課せられない制度。2014年に最初に制度が導入され、2016年からは「ジュニアNISA」が始まり、2018年からは「積み立てNISA」が始まる予定となっています。

家計の金融資産が預貯金に偏ってるから、株式や債券といった投資型商品に資金を振り向けてもらうため、様々な資産形成手段が導入されているわけです。

◆積み立て投資のメリットとデメリット

積み立てNISAは、先日発表された2017年度の税制改正大綱に盛り込まれている「案」の状態です。
現行のNISAと比べると、年間の投資上限額は120万円から40万円に減るものの、非課税で売却できる期間が「投資した年から最長5年」である現行NISAに対して、「投資した年から最長20年」となっているため、より「長期の運用」に向いた制度として期待されています。
そして、相場の変動に関係なく一定額を積み立てることで「平均買付単価」を引き下げる効果があると説明されることが多いようです。

これは一般的に「ドルコスト平均法」と言われています。

例えば、毎月1万円の積立を行うとしましょう。
購入対象の株式の単価(=株価)が10,000円の時には1株買うことになりますし、5,000円の時には2株買うことになります。また、株価が20,000円の時には0.5株しか買えません。結果として、「株価の安い時にたくさん買って、株価の高い時にはあまり買わない」状態となります。

仮に、株価の動きが「10,000円→5,000円→20,000円」と動いた3ヶ月間の場合でみると、投資した金額は10,000円×3回で30,000円。購入した株数は、3.5株になりますから、平均買付単価は8,571円です。

株価が10,000円だった一番最初に30,000円すべて購入した場合の平均買付単価は10,000円ですから、売却する時の株価が9,000円だった場合、積立購入だと利益が出て、一括購入だと損失が出ます。
これがドルコスト平均法のメリットと言われるものです。

でも、物事には必ず両面がありますから、ドルコスト平均法にもデメリットはあります。

先ほどの例で、株価の動きが、10,000円→20,000円→10,000円となり、売却時の株価が12,000円だったとしましょう。
一括購入だと、買付単価10,000円ですから1株当たり2,000円、合計6,000円の利益が出ます。一方、積立購入だと、10,000円で1株、20,000円で0.5株、10,000円で1株ですから、積立合計額30,000円で株数は2.5株。平均買付単価は12,000円となっているため、損益は0円です。株価が11,000円であれば、投資開始時より株価が高くなっているけれども、損失を出すことになります。
これはドルコスト平均法のデメリットと言えるでしょう。

◆万能な方法はないことを理解する

このように、シミュレーションというのは、条件変更によってどちらか一方を有利に見せることが容易にできてしまいます。
様々な制度ができ、資産形成の選択肢が増えることは望ましいものの、なんだか万能に見えるような説明が出てきた場合には、「この制度のデメリットは何か?」という視点でチェックしてみることが大切だというわけです。

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