今年から加入対象者の広がった個人型確定拠出年金は、1月のスタートダッシュだけではなく、その後も確実に加入者数が増えているようです。

■個人型確定拠出年金加入者の現状

国民年金基金連合会が公表している累計加入者数は、平成29年4月末時点で489,008人。4月の1か月間で約6万人の増加となっていることから、このペースで推移すると、5月末時点では54万人、6月末時点では60万人程度になっていてもおかしくないでしょう。

制度そのものが開始した2001年からの個人型の累計加入者は、2016年12月時点で約30.6万人でしたから、15年間かけて達成した人数を、わずか6ヶ月間で達成したことになります。

加入者の2割が利用されるとするSBI証券では、加入者のうち30歳代が3割、40歳代が4割を占めるそうなので、本来の目的である、将来の資産形成のための利用が進んでいるともいえそうです。

■ロボアドバイザーの登場

資産形成といえば、先日AI(人工知能)による運用を行う「ロボアドバイザー」について、お話を伺う機会がありました。

ロボアドバイザーとは、コンピュータープログラムによって自分に最適な運用方針や資産配分を診断し、その後の運用アドバイスや助言を受けることができるシステム全般を指す言葉です。
「私にはどんな運用が向いているのですか?」という質問を専門家ではなく、コンピューターに対して聞く感じでしょうか。

先行している米国では、2016年末の運用資産残高が約830億ドル(≒9兆1,300億円)となっていますが、2015年末からの増加率が約40%とのことで、急速に伸びている様子がうかがえます。

ロボットが行うことで、大幅なコスト削減につながりますから、手数料や運用管理費を安く抑えられるというのが一番のメリットといえます。

■勘と理論

実際、運用のプロと言われる人は、「その人の勘」ではなく、過去の膨大なデータに基づいて、「こういう場合の相場はこう動く」という予測に沿って行動するものです。こうした「膨大なデータの処理」は、コンピューターが得意とするところですから、そういう意味でロボアドバイザーは合理的と言えるかもしれません。

とはいうものの、人が判断する運用は、その結果が運用者によって大きく違っています。
これは同じ過去のデータを見ていたとしても、そのデータをどう読み解くかが人によって違うということでもありますし、「最後は経験に基づいた勘」で判断していて、その差が運用結果に表れているということもあるはずです。

つまり「理屈で説明できない要素」をゼロにすることはできないのでしょう。

実際、アメリカでの消費者に対するアンケート調査では、「FPなどの人からのアドバイスとロボアドバイザーを併用する」という回答が41%を占めており、「すべてFPに任せたい(21%)」、「デジタルツールのみを使いたい(6%)」を大きく上回っていました。

■FPのアドバイス補完ツール

ここから感じるのは、ロボアドバイザーは、一般の投資家が資産運用を任せるツールというより、FPなど資産運用アドバイスを行う専門家が補完的に使うツールとしての広がりです。これも、実際に米国で広がっている状況のようで、これまで大手の金融機関でしか提供できなかったAIを活用した運用アドバイスが、小規模なFP事務所でも可能になっている点に大きなメリットがあるようです。

新しいサービスが生活の中で受け入れられ、浸透するには、まだ時間がかかるかもしれませんが、FPこそがまずは使ってみる必要があるのかもしれません。

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